黒い十字架-Schwarz Kreuz-というサイトに設置しているブログです。 内容は黒い十字架の看板キャラによる小話などです。
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もちろん、〝ドジ〟が。
でも被害を被るのは緋燿だけ。
がっしゃーん!!!
今日も白雲は思いっきり転んだ。
今回は皿だ。
僕と碧風もその場に居合わせた。
それも当然だろう。
場所はリビング。
「ああ、またやってしまいました……」
シュンとする白雲。
本当に悪気はないんだよね。
そう思っているといつの間にか緋燿がいた。
ベシャ――
片付けようとしてまた転んだ。
まぁ、いつものことだね。
そう思っていると、緋燿が物凄く微妙な顔をして白雲を見ている。
バタン!
今度はゴミ箱を道連れにした。
溜息を吐きながら緋燿は箒を取って来た。
そして手際良く片付けて行く。
慣れたものだ。
「――これでよし」
床を綺麗にすると壊れた皿の破片が入った木の器を碧風に渡した。
「お願いします」
「いいよ」
これもいつものことだ。
僕もこんな身体になっていなかったら陶器を壊されても大丈夫だったんだけどね。
今は無理。
「はい」
綺麗に治った皿を緋燿に渡し、それを緋燿は皿を洗いに行く。
「ごめんなさい……」
犬のように耳と尻尾が生えていたらシュンと下を向いているだろう。
それほど元気がなかった。
そんな顔をされて怒れるのは鬼だけだと思う。
「全く気にしてないから平気だよ」
壊れても困るものはその辺にはない。
取り返しのつかない失敗をすることはない。
「確かに、ここでいくら失敗しても咎められることはないね」
「ここは不変の秩序だからね……」
何も生み出さず、何も変わらない。
僕が死ぬまでずっと続くことだ。
「白雲」
「はい」
「無理に変わらなくていいよ」
「蒼氷様?」
僕の言葉に驚いた表情をする。
「無理は必ず後で付けがくるから……」
後悔して、二度と笑えなくなるのは、駄目だ。
ここでならどんな失敗をしても挽回できる。
僕は自分のしたことを誤りだったとは思っていないし、後悔もしていない。
でも……僕の選択は周囲の者たちに大きな影響を与えてしまった。
周りの人間が無理をしているのを見るのは、ツライ。
「そう――」
だから、知らなくていい。
そんなことは。
「気にしなくても大丈夫ですよ。ちゃんと成長してますから」
明るく碧風が白雲を励ました。
そして僕も思い返す。
「そうだよね。前より転ぶ回数減って来たし……」
それを聞いた白雲は不思議そうに尋ねてきた。
「そうですか?」
それに頷く僕と碧風。
「そうそう」
「大丈夫」
ただ、緋燿だけはとても微妙な顔をしていた。
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