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黒い十字架-Schwarz Kreuz-というサイトに設置しているブログです。 内容は黒い十字架の看板キャラによる小話などです。

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第一話:出会い編1 蒼氷Ver.
 ブログも放置しすぎです……
 サイトの方は更新しているのに……
 ――というわけで今日から黒い十字架本編に出てくる面倒くさがりやな神様、蒼氷の視点で見た世界をお送りします。
 本編は全て緋燿の視点で書かれていますが、蒼氷はどう思っているのか……
 それを書いてみます。

 一回目なので当然第一話からです。
 黒い十字架本編、〝086:初めての邂逅[第一話:出会い編1]〟の蒼氷視点です。





 少し前――精神と死を司る神、紫闇から手紙が届いた。
 内容はちょっと出来が悪い部下がいるので何とかしてほしいというものだった。
 面倒だとは思ったが、今この識者の館で暮らしているのは僕一人……
 一人生活は気楽というよりも全て自分でやらなければらならいという面倒さの方が多い。
 手紙と一緒にその問題児の個人情報も入っていた。
 え~っと……
 名前は緋燿……年は7970歳。
 Bランクの神……
 …………Bランク?
 見間違いかと思って目をこすってからもう一度書類に目を通す。
 ……見間違いではなかった。
 そこには間違いなくBランクと書いてある。
 もうじき8000歳になるというのにBランク……
 これは紫闇が心配するのもわかる気がする。
 Aランクになるための試験は5000歳から受けられる。
 たいていの神は6000歳になるまでに受かっている。
 それなのに未だにBランクとは……
 職業は〝死神〟。
 死神としての仕事はそれなりにこなしているようだ……
 ――と、いうことは問題になっているのは学力の方か……
 次の書類に目を通す。
「あちゃー……これはヒドイ」
 今まで受けた昇格試験のテスト結果が記載されているが、はっきり言ってぼろぼろだ。
「ここまでヒドイの初めて見たかも……」
 受からないはずだ。
 他の書類にも目を通す。


 そしてわかったのは本当に勉強が苦手だということだ。
 素行が悪いわけではない。
 死神の実技の方はそれなりに優秀だ。
 そして結構真面目。
 勉強が出来ないばっかりに落ちこぼれな哀れな男だ。
 まぁいい……
 暇だし、面倒を見るぐらいいいだろう。
 ――そしてそのついでに僕の面倒を見てくれればなお良し。
 心が決まると僕は紫闇に返事を書いた。
 これでしばらくしたら落ちこぼれ死神君がここに来るだろう。
 そうしたらいろいろ社会勉強しながら頑張ってもらうことになる。
 目標は8000歳になるまでにAランク合格だね。
 まぁ、ここには勉強するための本には事欠かないし……きっと何とかなるだろう。


   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆   ◆


 今日は紫闇が問題児を連れてくる日だ。
 ――なのでテラスでのんびり本を読んでいた。
 しばらくすると人の気配がした。
 テラスから見下ろすと紫闇と書類の写真で見た問題児……緋燿がいた。
「あー、紫闇~。久しぶり~」
 僕は手を振た。
「ええ、久方ぶりですね。蒼氷殿」
「うん。そうだね」
 そして紫闇の横を見る。
 書類で見て分かっているが、一応確認する。
「その子が?」
「ええ、そうです」
 ぺこりとお辞儀をする緋燿。
 ちょっとガチガチだ。
 ……周囲の僕を見る目なんて忌々しいものばかりだが……彼の場合は唯偉い神だから気を張っているだけだろう。
 テラスから飛び降りて二人の前に立つ。
「よろしく~」
 僕はそう声をかけた。
 そしてじっと彼を見る。
 ……神力が低いわけでもないし――
 本当に学力が伴わないだけなんだ……
「僕は蒼氷、よろしくね? 緋燿」
 僕がそう言うと少し驚いているようだった。
 なんで知っているんだって顔だよね。
 わかりやすいなぁ。
「あの、無理難題を押し付けたりしないであげてくださいね?」
「え~? それはわからないよ。だって、僕は使えるものはとことん使う主義だもん」
 楽なんてさせてあげない。
「これで面倒な書架整理とか家事とかしなくてすむね」
「――というかあなた、そんなこと一度もなさったことないじゃないですか」
 それは当然。
 僕はこう見えて昔は偉い神だったから使用人もいたんだよね。
 今はいないけど……
「ここ最近は仕方なくやってたよ。下僕が逃げちゃうんだもん」
「そ、その言い方はないと思いますよ」
 最初はたっぷり脅しておこう。
 最初に脅しておけばちょっと無理難題が発生したとき、押しつけても最初言ったでしょ? ということで済ませられるはず。
「根性無いよね~」
 僕はいつ何があるか分からない身だ……
 それにここは特異点……厄介事が集まりやすい……
「頑張ってください」
 紫闇が心配そうに緋燿に声をかけている。
「…………はい」
 それに頷く緋燿。
 緋燿……ここで勉強して試験に受からないようなら貴方は死神をやめなきゃならない……
 それ、ちゃんと理解してるのかな?
 僕はそう思いながら館に向かった。


END
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