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黒い十字架-Schwarz Kreuz-というサイトに設置しているブログです。 内容は黒い十字架の看板キャラによる小話などです。

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第十二話:惨劇の料理編1 蒼氷Ver.
 白雲が来てからしばらくが経過した。
 その間、特筆すべき様な事象は起こらなかった。
 だが、ここにきてとうとう起こる。

 その被害者になる緋燿に蒼氷は声をかけた。
「ご愁傷様」
 ――と。










 扉が開く音がした。
 
「緋燿、今、帰ったの」
 
 テラスから下を覗き込む。
 今日は少々帰ってくるのが遅かった。
 仕事だったのもあるけど、主な原因は手に満載の買い出しの方だね。
 
「今日は遅かったね」
 
 可哀そうに。
 そう思って言ったのだったが、緋燿は別の取り方をした。
 
「わかってるよ。これから急いで作るから少し待ってろ」
 
 そういう意味じゃないんだよね。
 これから緋燿を襲う悲劇を思うとさすがに哀れだ。
 
「――ご愁傷様」
 
 僕はそう言うと身体を引っ込めた。
 今日の晩御飯は何だろう?
 まぁ……たとえ料理名を言われても僕には何であるか理解できないんだけど……
 いや……あれを見て当てられる人物がいるならば是非、見てみたいものだ。
 
 僕はたとえ極彩色でも気にならないけど――
 まぁ……でも、あれは初めて見た時にはかなりの衝撃だった。
 晴天の霹靂だった。
 
 さて、そろそろ降りようか。
 料理、出来てるだろうし。
 
 
 
 
 下に降りるとキッチンの入り口で立ち尽くしている緋燿がいた。
 想像以上の惨劇に声も出ないのだろう。
 僕は後ろから近づいてポンと緋燿の肩に手を置いた。
 僕が来たことに今気付いたようだ。
 それほど衝撃的だったのだろう。
「だから言ったじゃない。ご愁傷様」
「蒼氷……」
「そして言ったよね。命が惜しくば自分で作りなって」
 緋燿はすでに泣きそうだ。
 僕は緋燿を置いて先に食堂へ移動した。
 後ろから緋燿がついてくる。
 すでにふらふらだ。
 そしていつもの席に着く。
「蒼氷……どうしてこの臭いの中平気でいるんだ?」
「――神術って便利だよね」
 力がほとんど使えない僕でもこのぐらいの軽い神術ぐらいなら使える。
 臭いなんてシャットアウト。
 そんなことを一切気にしていない白雲がトレーに料理を載せてやって来た。
 何故かご飯の見た目は正常だ。
 しかし、僕は知っている。
 このご飯も見た目が正常なだけで十分猛毒であると――
「戴きます」
 白雲が座ったのを見届けてから僕は料理に手をつけた。
 白雲は勿論普通に食べるが……緋燿は引き攣った笑みのままスプーンを握り締めている。
 
 そして一口。
 
 緋燿はその瞬間倒れた。
 
「え? 緋燿!?」
 驚いたのは白雲の方だ。
 まぁ……突然倒れたら驚くよね。
「蒼氷様……緋燿が寝てしまいました」
 
 そう思える白雲の感性の方が凄いけどね。
「仕事がきつくて疲れているんじゃないかな?」
 僕はしらっと惚けることにした。
「そうですか……」
 白雲は緋燿を心配しながらも、取り敢えず抱え上げた。
 
 白雲は見た目によらず怪力だ。
 
「じゃあボク、緋燿をベッドに寝かせてきますね」
「うん。よろしく」
 そう返事をして僕は食事を続ける。
 でも白雲だからなぁ……
 何事もなくベッドまではつけないだろう。
 
 何回か転ぶだろうからね。
 
 ドシン! という音を聞きながら僕は料理を口に入れる。
 …………食べれるけど美味しくはないんだよねぇ。
 白雲の料理はとても不思議な味がする。




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