黒い十字架-Schwarz Kreuz-というサイトに設置しているブログです。 内容は黒い十字架の看板キャラによる小話などです。
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第十六話:白雲編2 蒼氷Ver.
建ててから一度も修繕されていない識者の館。
建物が老朽化してきたことを気にする蒼氷。
そして蒼氷は修繕を決意する。
はぁ……
たとえ特異点に建っていたとしても所詮は建物。
老朽化には勝てないということか……
そう思いながら館の壁を少し離れた所から見ていた。
「あ、緋燿」
すると緋燿が飛んで来た。
「どうかしたのか?」
「うん……あれ見て」
僕は見ていた館の壁を差した。
差された方向をじっと見つめる緋燿。
「どれだ?」
「館の壁だよ」
それ以外に見えないでしょ。
「壁?」
僕に言われて改めて壁を見始めた。
そして呟く。
「そうだな……強いて言えば老朽化が進んでる……か――」
「そう! そうなんだよ!!」
そう力強く僕が返事をすると、緋燿は何故か僕から一歩引いた。
気にすることなく僕は続ける。
「僕がここに来てから一度も何もしてないし……汚れも白壁だから物凄く目立つし……そもそも建物に罅が入ってるんだからなんとかしないといけないなって思ってたんだよ」
地震なんか起こらないけど、万が一崩れたりしたら洒落にならない。
「だから白雲と二人で外壁修繕して」
放置するわけにもいかない。
「僕が〈復元の光〉を使えたらわざわざ緋燿と白雲に頼んだりしなくても良かったんだけど…………今使えないからね」
ああ、忌々しい。
思い出しただけで気分が悪くなる。
「し…………白雲さんと……一緒…………に――?」
「当り前じゃない。確かに識者の館は狭いけど一人でやるのは大変だよ。だから白雲にも手伝って貰わないとね」
識者の館は狭い。
でも、館というからにはそれなりの広さはある。
いくらなんでもこれを独りでやらせるほど僕は鬼ではない。
「ちょ――」
そうと決まれば善は急げ。
「じゃあ言ってくるね」
僕は白雲に伝えに行く。
なんか後ろで緋燿が何かを言っている気がするが、まぁ、いいだろう。
僕の頭の中は壁の修繕でいっぱいだった。
そして緋燿と白雲は力を合わせて壁を修繕してくれた。
二週間ほどかかった。
広くはないとはいえ、やはりそれなりに面積はあるし手間がかかったのだろう。
しかし、良い感じに仕上がった。
二人には感謝だ。
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