黒い十字架-Schwarz Kreuz-というサイトに設置しているブログです。 内容は黒い十字架の看板キャラによる小話などです。
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第十九話:碧風編1 蒼氷Ver.
館の中で神術を使った者がいる。
慌てて確かめに行くが、それは懐かしい人物だった。
慌てて確かめに行くが、それは懐かしい人物だった。
テラスで寛いでいると、下から物凄い力を感じた。
これは間違いなく、神術を使った気配。
しかし、この館で無闇に神術を使う者はいない。
白雲は使えるけど、使ったりしない。
緋燿はそもそも魂を運ぶ神術しか使えない。
では一体誰が?
僕は急いで下に降りた。
そしてキッチンに駆け込む。
「僕の家で勝手に神術使う愚者は誰だ!」
そう言い放ってから気付く。
見慣れた姿に。
「碧風!」
「蒼氷」
「久しぶり~、いきなりどうしたの?」
「蒼氷は相変わらずちっこいですね~」
相変わらずのようだ。
「ふふふ、余計なお世話だ」
でも、本当に久しぶりだ。
「蒼氷様のお知り合いなんですか?」
碧風に気を遣ってか、敬語だ。
「碧風と僕は幼馴染なんだ」
もう随分と会っていないが。
「蒼氷、私をしばらくここに匿ってくれませんか?」
ニッコリと笑顔でいきなりそう切り出した。
「いいよ」
僕にとっては何の不都合もないので二つ返事だ。
「……あの、お仕事は?」
後ろから緋燿が尤もな疑問を投げかける。
だが――
「わかってないですねぇ。偶にサボりたくなる時があるんですよ」
予想通りの答えだ。
「これからしばらくの間、よろしくお願いしますね」
「こちらこそ」
碧風が来てくれたのは大抵の問題は片付くはずだ。
なんせの僕には力が使えないからね。
それにいろいろ話も聞ける。
僕はさっそく碧風とテラスに向かった。
碧風は僕と違って酒に弱いので紅茶だ。
今日の飲み物はお誂え向きにロイヤルミルクティー。
久しぶりに楽しい時間が過ごせそうだった。
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