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黒い十字架-Schwarz Kreuz-というサイトに設置しているブログです。 内容は黒い十字架の看板キャラによる小話などです。

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第二十話:碧風編2 蒼氷Ver.

 一緒に暮らしていても話せないことはある。
 それを知ったら相手の方が傷ついた顔をするから……











 今日もいつもと同じように紅茶を飲みながら他愛ない話をしていた。
 昔の話はしない。
 それは二人の間では……いや、夜曇のことを知っている者にとってはタブー以外の何ものでもないからだ。
 それに今は緋燿もいる。
 下手な話は出来ない。
 まだ……知るには早すぎる。
 あの話は……重い。
 まだ、緋燿には重すぎる。
 だから、知らせるつもりはない。
 そして仕事の話もしない。
 理由は簡単。
 
 ツマラナイからだ。
 
 そんな話をしても楽しくない。
 碧風も僕も仕事の話なんて……何が楽しくてそんな話なんか……
 
 
 したくもない。
 
 
 だからごく最近の普通の話だ。
 読んだ本の感想なども言い合う。
 それだけだ。
 
 そんな時、緋燿が現れた。
 
「蒼氷」
「何? 緋燿」
 若干表情が暗い気がするけど……
「今から地上に仕事に行って来る」
 
「地上に?」
 
 真面目な緋燿が仕事を嫌がるとは思えないけど……
 
 そして手に持っていた物をテーブルに置いた。
「茶菓子はこれで十分だろう」
 レアチーズケーキのホールだ。
 美味しそうだ。
 
「お土産が欲しいです」
 
 碧風が遠慮なく言った。
 それで気付く。
 緋燿が暗い顔をしていた理由が。
 
 無理難題を吹っ掛けられることがわかっているから暗い顔をしていたのだろう。
 
「そうだね。ワインとケーキと紅茶でよろしく」
 僕もその提案に乗る。
「よろしくお願いします」
 その瞬間、がくりと項垂れた。
 
「はぁ……」
 
 断りきれないとわかっていて無駄なことは何も言わずに去って行った。
 藍水とは全く違うね。
 彼女なら容赦なく断るだろう。
 それが出来ない緋燿はやはり幹部には向かない。
 
 そう思いながら緋燿の後ろ姿を見つめた。




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