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黒い十字架-Schwarz Kreuz-というサイトに設置しているブログです。 内容は黒い十字架の看板キャラによる小話などです。

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第二十一話:碧風編3 蒼氷Ver.

 現実はとても厳しい。
 優しいと思っていられるならばそれは守られているからだ。
 ここではそんな優しさを発揮してくれるものはいない。












 今日は白雲が作ってくれたクッキーを食べながら碧風と一緒に紅茶を飲んでいる。
 確かに僕はお酒が大好きだけど年中無休で飲んでいるわけではない。
 紅茶も飲むよ。
 嫌いじゃないし。
 雑談をしながらボリボリ黒いクッキーを食べていると恨みがましそうな表情をした緋燿と目が合った。
 
「なんで二人は白雲さんの料理を注意してくれないんですか」
 
 何故って、それは……
「う~ん……あれは注意してもなおらないと思うけど?」
「そうですね。あれは本人の体質みたいなものですからね」
 碧風もあっさりと告げる。
 緋燿の顔が引き攣った。
 僕はクッキーを手に持って緋燿にひらひらと見せる。
 
「同じ材料で同じように作っても緋燿にあれは作れないでしょ?」
 
 これだって焦がしてこの色というわけではない。
 焦げてはいないのだ。
 でもこの色。
 無論、猛毒だ。
 でもこの黒いクッキーはまだマシな方だよ。
 マーブル模様とか、縞々模様とか、市松模様とかだったりするし。
 当然、凝って作ってその結果というわけではない。
 
 模様になっていてもそれは偶然の産物だ。
 
 白雲は何も気にせず普通に生地をこねて作るだけ。
 それでもああなるんだから世界の不思議だ。
 
「う~ん。それに別にあまりたいしたことないから僕的にはいいかなって」
 
 効かないし。
 
「蒼氷はたとえ自分に害があっても全く気にしないよね」
 
 続けて碧風がそう言った。
 
「うん」
 
 でも実際、毒はおろか普通の薬さえ効かない。
 夜曇を封じているせいだ。
 そのせいで薬品系は全て無効化する。
 そのため倒れたら自力で回復するしかない。
 
 時たま思う。
 
 何も考えずに眠っていられた方が楽なのだろうかと――
 僕は、封印の器なのだから――
 
 ……そんなこと、口が裂けても言えないけど。
 
 言ったら怒られるのが目に見える。
 
「私が彼に注意しないのはただ楽しいから、です」
 
 そんなことを考えているとあっさりとイイ笑顔で碧風が緋燿に告げていた。
 緋燿が硬まる。
 
「だって、人を苛めるのって結構楽しいですよ」
 
 そしてふらりと一歩下がった。
 碧風って見た目の温厚さと裏腹に実はかなりイイ性格してるからね。
 緋燿も今、それを思い知ったことだろう。




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